【少年野球】野球における「下半身主導」は間違い?②
上下が一緒に動いて本当に大丈夫?
この左右分離のお話をするとよくいただくご質問があります。それが、
1、上下を一緒に動かしたらねじる力が使えないのではないか
2、下半身と上半身が一緒に出るようなスイングになるのではないか
3、後ろに体重を残しすぎると前への力が不足するのではないか
といったものです。
このご質問について私の見解をお話します。
1上下を一緒に動かしたらねじる力が使えないのではないか?
この質問に関してですが、私はそもそもねじる力はあまり使わない方がいいと考えています。
ねじる力とは、体をねじってパワーを出す、つまり遠心力(体が遠回りする動かし方)です。
アーム投げやドアスイングも遠心力優位の、投げ方、打ち方です。
ねじる力は円方向の動きなので、遠心力優位の投げ方を引き起こしやすく、肩肘を壊しやすい動き、と言えます。
理想的な体の使い方は、「遠心力(ねじれ)+直線の運動」です。
例えば、下半身を先行させて上半身を残すとねじれる力になります。
このねじり戻しの動きは、バットや腕が遠回りになります。
しかし、右半身を前に先行させて左半身を残すと引っ張り合うような直線方向の動きになります。
引っ張り合って縮めるという動きなので、遠回りせず、まっすぐの運動になります。
ピッチャーであれば、円運動を利用して投げるのではなく、投球方向にまっすぐ向かっていく直線的に投げるとコントロールが良くなります。
バッターであれば遠回りするとドアスイングですが、直線方向の運動に代わると、いわゆるインサイドアウトのようなボールの軌道にバットを乗せて打つような動かし方に変わります。
よって、ねじる運動よりも、体の左右分離を活かした直線的な運動を使うのがベストではないかと考えています。
2下半身と上半身が一緒に出るようなスイングになるのではないか?
確かにそんなイメージになってしまう人もいるでしょうがこれは間違いです。
上半身と下半身を一緒に動かそうと思っても、必ず上半身の方が遅れます。
これは、上半身と下半身の回転モーメントの為です。
回転モーメントとは、フィギュアスケーターが腕を横に大きく開いて回るのと閉じて回るのとではどちらが早く回れるかという話と同じです。
腕を伸ばすことをモーメントアームが長いといい、回転は遅くなります。
腕を近づけると、モーメントアームが短いといい、回転は速くなります。
下半身と上半身だけでも、回転のモーメントに違いがあります。
ピッチャーはボールを投げるので腕を伸ばし、バッターはバットを持っていますね。
下半身のモーメントアームは、骨盤を中心に起こるので小さく、回転は速いということになります。
しかし、上半身は腕やバットの長さもありモーメントアームが大きいので、回そうと思っても時間がかかります。
つまり、上半身と下半身を一緒に動かそうとしても、必ず上半身が遅れます。
意識の中で一緒に動かそうと思っても、必ず上半身の方が遅れて出てきます。
「下半身から回して、、」というように意図的にしてしまうと、下半身が完全に開ききって前足に体重が乗り切ってから腕を出しても力は伝わりません。
実際に下半身先行と、体を左右に分離する方法でどちらの方が力が入りやすいかを比べてみて下さい。
実際に力の入り具合を比べてみましょう
①下半身を投球方向に向けておいて、誰かに手を押さえてもらってスイングするように力を入れる。
②軸足を回さずにオープンした状態で上半身と下半身を一緒に動かすように、力を入れる。
これらを比べると、下半身と上半身を一緒に使って腕を振る方が力がしっかりと伝わるのがわかると思います。
3後ろに体重を残しすぎると前への力が不足するのではないか?
意図的に下半身を先行させると前足への体重移動が早くなります。
力を上半身に伝えるためにはタイミングが非常に大切です。
本来であれば、体重が前に移動しているタイミングが一番パワーが大きいです。
前に行くタイミングで、ちょうど上半身が回転し始める、そのタイミングが一番パワーが伝わります。
しかし下半身を先行させると、完全に前足に体重が乗り切った時点でようやく上半身が動き始めます。
つまり、前足に体重が乗ってから力を入れても、パワーは伝わらないということです。
実際の指導法はまたの機会に!
ではどのように指導するのか?
どのように練習に取り入れるのか?
今回のブログは長くなってしまったのでそれはまたの機会にブログでご紹介します!
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
鹿児島県沖永良部島出身
鹿児島樟南高校で甲子園出場
京都市北区北野白梅町で、もり鍼灸整骨院を運営する傍ら、ピッチングラボを開設。
野球専門治療に始まり、ピッチングの指導を行う。
これまで全国3000人近くの選手や子供たちの指導に携わる。
ピッチングラボでは、野球で肩や肘を壊すことなく、長く野球を楽しんでもらうためのサポートをおこなっている。
MORIピッチングラボ代表
もり鍼灸整骨院 院長
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