【少年野球審判講座】(第2回)「見る基本とアクション」
審判の基本動作「Go Stop」
こんにちは、山崎夏生です。
初めて審判をやるお父さんに大切なのは「誠心誠意のジャッジ」と前回は書きました。
(1回目の内容はこちら https://www.xn--0et88ccz6awh1a.biz/movie/5430.html )
これは精神面での最重要なことですが、今回は実技面での大切なことです。
例えばカーンと快音を残し打球は左中間真っ二つに飛んだ。
こうなるとハッスルを意識しすぎるあまり思いっ切り打球の落下点に近付きたくなるものです。
あるいは盗塁があれば少しでもその塁の近くで見たくなり、走者と同様にその塁に駆け込む。
これらを我慢してください。打球判定も送球判定も必ず止まって見ること。
何があろうともプレーに対しては完全静止が必要です。
なぜなら頭が動いている状態では絶対に目から入った情報が脳に正確に伝わらないからです。
プロの審判でもたまに「えっ!?」と思うようなミスジャッジがありますが、それは間違いなく動いた状態で見ていた、あるいは死角に入りプレーが見えていないのに一か八かの判定を下してしまった、という場合です。
必ず静止して見るという基本を徹底的に体に沁み込ませるトレーニングが「Go Stop」です。
審判の基本の全てが入っている
これは野球で言うならキャッチボールや素振りのようなもので、どんなベテランでも毎年のキャンプはこの反復練習から始めます。
動き自体は簡単です。「Go」のかけ声で5~10メートルほどのダッシュをし、「Stop」で立ち止まる。
そこで膝に手を当て目の前にプレーを想定して見る。
そこでアウトなりセーフのジャッジをする。
それを何度も繰り返し、最後はタイムで終わります。
初めて審判をやる人でも10分もやればそれなりの格好になるでしょう。
ただそれが無意識のうちにきれいな形でできるようになるためには相応の回数が必要ですし、何よりもこの動作の中には審判の基本の全てが入っているのです。
基本のコールと動作
アウトの形はキャッチやストライクと同じ、セーフはノーキャッチやナッシングと同じ、タイムはファウルやボールデッドと同じです。
全審判員が試合中に頻繁に出す動作であり、これにそれぞれのコールが伴うのです。
まずは各チームの指導的立場の審判の方から教わってください。
ここでは簡単に各コールの基本的な手の上げ方や広げ方のみを書きます。
アウト・ストライク・キャッチの時には決して頭を動かさず、そのプレーを熟視する。
捕球をキッチリと確認したのち、腕と肘、腕と脇の角度はともに90度、体に対しては斜め45度の前方に向かって右腕を肘から大きくスッと上にあげます。
この時、最初は力を入れずに上げ、コールの時にピタッと止めてください。
目の前にある壁を強くたたくようなイメージです。
拳はギュッと握りしめること。
決して親指を立てませぬように。
セーフ・ノーキャッチ・ナッシングはまずは両手をスッと前に出し、そこから水平に指先もそろえ大きく広げます。
注意する点は上下や前後にぶれぬよう、とにかく一番大きくその両手が広がっている状態を意識することです。
タイム・ファウル・ボールデッドは斜め前方に大きく両手を突き出し、何よりも強いコールが必要です。
試合でよくトラブルになるのがボールデッドだったのか、インプレーだったのか、ということ。
このコールは全選手に試合停止だということを知らさなければならないので、特に重要なのです。
試合再開の時の球審の「プレイ!」も同様です。このけじめをキッチリとつけると試合も引き締まります。
次回は各プレーの見方の基本を学ぶ
この3つのアクションとコール、これを身につけたら次回からはいよいよ球審での投球判定や塁審での各プレーの見方の基本を学ぶ段階に入ります。
お楽しみに。
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1955年7月2日、新潟県上越市生まれ。幼少期から野球が大好きで、プロ野球選手を目指すも、実力を悟り断念。79年に北海道大学文学部国文科卒業後は、プロ野球担当記者になろうと、日刊スポーツ新聞社に入社。しかし、野球現場への夢を諦めきれずに一転、同社を退社して82年にパシフィック野球連盟と審判員契約を締結する。84年、一軍戦に右翼線審として初出場(西武対南海)。同年に、Jr・オールスター戦に出場(以後3年連続出場)すると、86年イースタン・リーグ優秀審判員賞受賞した。88年、一軍戦で初球審(ロッテ対南海)すると翌年、一軍戦レギュラーメンバーに昇格。フロリダのジム・エバンス審判学校(フロリダ)への派遣留学、オールスター戦出場などの経験を積み、99年7月に一軍公式戦1000試合出場達成。10年10月に千葉マリンスタジアム最終戦(ロッテ対オリックス)で現役引退するまでに、一軍公式戦1451試合に出場した。その間、歴代1位、計17回の退場宣告を行った審判として知られる。引退後は日本野球機構(NPB)と審判技術指導員として契約。18年に同機構を退職し、現在は「審判応援団長」として審判の権威向上と健全なる野球発展のために講演・執筆活動を行っている。
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